千葉県から札幌に移住してきてまもなく3年となる。
サポカンという観光情報サイトを作っている関係で、札幌の主だった観光スポットはほとんど回った。
しかし、この3年弱の間に失くなった札幌の遺構はかなりある。古い建物が消えていくのは致し方ないことである。
老朽化した場合、どうしても建て替える必要性はあるし管理者が維持出来ない場合は、取り壊すのも致し方ない。
ただやはり見慣れた建物が失われていくのは寂しいものではないだろうか?
この3年間で札幌で消えた遺構・建物を紹介していく
札幌景観資産 第3号「三谷牧場牛舎・サイロ」
イオンモール札幌発寒のすぐとなりにあった札幌景観資産にも登録されていた「三谷牧場牛舎・サイロ」が取り壊されたのは、2018年10月のことであった。
さっぽろ・ふるさと文化百選にも選定されていた歴史的な建物であったが、管理維持をしていくのが難しかったのであろう。
特にニュースになることなく、取り壊され消えてしまった。
取り壊される数ヶ月前までは、「牧場ダイニング 桜」という飲食店として使われていた。
歴史的な建物で美味しいものが食べられる、ということで行こうと思っているうちに閉店になり、取り壊されてしまった。
まだある、と思っているうちになくなってしまうことを印象付けられた。
石の蔵ぎゃらりぃ はやし
札幌駅から徒歩5分もかからない場所にあったとても雰囲気のあったギャラリーを兼ねたカフェ「石の蔵ぎゃらりぃ はやし」
札幌駅北口の再開発にともない取り壊されてしまった。
札幌駅からこんな近い場所に、まさかこんな建物があるなんて、と見つけた時には驚いたものだった。
何度か立ち寄らせてもらったが、いつも静かで時間がゆっくりと流れるスペースであり、とても好きな空間だった。
札幌芸術文化の館・北の映像ミュージアム
2020年3月に取り壊しが行われた「さっぽろ芸術文化の館 」内にあった「北の映像ミュージアム」は、北海道でロケが行われた映画に関する美術館だった。
さっぽろ芸術文化の館の取り壊しが決まったことで「北の映像ミュージアム」も閉鎖となってしまった。
レトロな映写機が展示され、キネマ旬報のバックナンバーも閲覧できて、映画ファンなら何時間も居られる、そんな場所だった。
ススキノラフィラ
札幌松坂屋から続いて最終的には「ススキノラフィラ」となった建物。
この記事を書いている2020年9月現在、取り壊し作業が行われている。
すすきのの中心的な建物であり、最終営業日にはコロナ禍の中でも多くの人が訪れた。
老朽化のために、建替えが行われる訳だが、やはり慣れ親しんだ建物が取り壊されるのは忍びない人も多いのではないだろうか?
旧 苗穂駅
新しい駅舎ができて、周りには高層マンションが立ち並ぶ苗穂駅、再開発がもっとも行われているエリアでもある。
旧苗穂駅は、300メートルほど東側にあった。
雰囲気のある駅舎で1935年(昭和10年)に作られたそうだ。
取り壊しされると聞いて、1度は旧駅舎から乗車しようと慌てて見に行った。
いつかなくなる建物
いつでも見に行ける、そう思っているうちに実はかなりの建物は無くなっていく。
今回紹介した以外にも、ホテル・旅館を加えればかなりの数の建物がこの3年間で無くなっている。
例えば札幌に移住してくる前に引越し先を決めるべく連泊した「札幌第一ホテル」も2020年6月に営業を終了した。建物も今後は取り壊されるだろう。
まだ残ってはいるが北海道百年記念塔もまもなく取り壊しされることが決まっている。
札幌には神社が100社以上あるが、おそらく今後10~30年の間にいくつかは消えていくと考えられる。
札幌の神社をすべて参拝しようと決めた時に調べた神社で「豊羽鉱山山神社」があったが、現在は立ち入り禁止になっており、参拝できないとなっていた。おそらくそのまま風化され消えていくのであろう。
何より知らないだけで、この3年間で消えた遺構・建物はもっと多いであろう。
いつか見に行こう、ではなく、今見に行かなければもう見れないかもしれない、そう思って1つ1つの遺構を大切に記録していきたい。
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